この度、RODGALLERYでは佐々木萌水の個展を開催いたします。佐々木にとって東京での個展は初開催となります。
 
佐々木は京都を拠点に作家活動を行っており、近年では京都市内を流れる川から陶磁器のカケラを採集し、漆で繋いだ金継ぎや呼び継ぎなどの作品を制作しています。
 
自身の手によってひとつひとつ掬い上げた過去のカケラを丁寧に繋ぎ合わせ、未来への物語を創造する佐々木萌水の作品を是非ご高覧ください。
 


京都の街なかを流れる高瀬川に、たくさんの陶磁器のカケラが落ちていることを知りました。
 
ばらばらになった陶磁器のカケラは、中身のない貝殻のようで、そこから人々の営みを垣間見ることができます。
 
誰かが捨てた器のカケラが、漆のちからでつなぎ合わされて、再び器のかたちとなった時、
 
川や、街や、私たちの生活が、過去から地続きにつながっていることを思い出させてくれます。
 
佐々木萌水


器を通じて物語を感じたのは佐々木さんの作品が初めてのことだった。
 
京都の川で採取されたかつて暮らしの中で使われていた器の欠片たち。
 
江戸時代の陶器もいまだに川辺で見つかるそうだ。
 
それらの欠片たちは繋ぎ合わされ新たな姿に生まれ変わる。
 
急須の蓋が酒器の蓋として変化し、別々のお椀が繋ぎ合わされひとつになる。
 
過去に一度形を失ったものが再び形を持つということは、過去から現在への時を繋ぐようでも輪廻のようでもあり、多重な意味を帯びる。
 
器には本来存在するための用途がある。
 
料理を盛るため、お茶を淹れるためにつくられた器たちはいったん形を失い彼女の手によって蘇る。
 
そして、物質的な容れ物としてだけではなくなる。
 
時の流れの不思議、有限の時間の中で今ここに在るということへの慈しみを静かに受け容れてくれているように思える。

RODGALLERY ディレクター 藤田 つぐみ


▶︎展覧会名
佐々木萌水個展「街の貝殻」
 
▶︎開催期間
2024年4月5日 - 2024年4月27日
※9日から11日、16日から18日、23日から24日は閉廊。
※4月25日から27日までの期間は東京アートアンティーク参加により開廊。
※11時から19時まで。
 
▶︎アーティスト
佐々木萌水(ささきもえみ)
http://uruo.info
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