この度ROD GALLERYでは濱口健の個展「来迎図」を開催いたします。
 
弊廊に於いて同氏の個展は2023年から数えて3度目となります。

詳細は下記をご覧ください。
 


 
仏画はよく日本画の古典模写として見かけるが、非常に繊細に縁取られた輪郭線や紋様、金箔を細断し丁寧に貼り付けられたもの等、その心尽くしの技量の高さは仏への畏敬の念を絵師達が表現している様にもみえる。
 
濱口氏のDMに使用されている「阿弥陀来迎図」を拝見した際も背景に描かれたカラス口で幾つも引かれた細やかな線を目にし、一瞬同じような感覚に陥った。
 
右下の合掌する手がよく見るとレントゲンのように感電してるのは置いておいて、濱口氏はなぜ仏画を描いたのだろうと、いつもの作風から大きく異なる題材を前に感じた。
 
この「阿弥陀来迎図」は実家に飾ってあったもので、お父様が趣味で模写したものだそうだ。
 
それをトレースし、再び模写をしたという。模写の模写であるが、ありがたいから描いたわけではなく、仏画の持つ欲の矛盾を感じながら制作したという。
 
濱口氏は10年ほど仏教関連の書籍を読んでいるなかで欲を捨て、囚われを捨てる仏法の教えと、丹念に描き込まれ完成度を上げた仏画の孕む欲とも囚われともいえる図像との間に矛盾を感じたという。偶像としての側面にも違和感があったそうだ。
 
ただそれに対して批判的な感情は持つことはなかった。
 
濱口氏の制作スタイルはストイックで12時間程は毎日画面に向かうそうだが、ある種ルネサンス期のフラ・アンジェリコ的な欲を捨てた画僧の姿勢を感じる。
 
キャンバスを床に置き目を酷使しながらカラス口で線を重ね、身を捧げて制作している。
 
「欲?あんまりないっすね。でも絵は売りたいですよね。」と言う濱口健の描く唯一無二の仏画は、欲とともに現世を生きるわたしたちの瞳にビビットに問いを投げかけている。
 
RODGALLERY ディレクター
藤田つぐみ
 


 
以前から仏教に興味があり、自分なりの仏教美術を少しは展開したことはあったものの、ずっとそれっきりになっていたことが頭から離れずにいたのですが、亡き父親が描き残した「阿弥陀来迎図」等の掛け軸を久しぶりに目にしたことでグイッと背中を押されるような気がして、今回から思い切って仏画シリーズを新たに始めることにしました。
 
しかし、人間の欲望のあり方についての根源的な問いかけ、考察が仏教の基本テーマであるはずが、仏画や仏像を作り、またそれを拝み、利益を求めるという行為そのものが、実に欲望そのものだという事実を突きつけられ、結局、人間が生きている限りは逃れられないのだなあと痛感した次第です。
 
覚悟を迫られます。
 
そして今後も続けていきたいと思います。
 
濱口 健
 


▶︎展覧会名
「来迎図」
 
▶︎開催期間
2025.5.9(金) - 5.26(月)
※会期中火-木曜休廊
※11:00 - 19:00まで
 
▶︎アーティスト
濱口 健(はまぐち けん)
※アーティスト名をクリックするとアーティストページに遷移します。


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