このたびRODGALLERY では、佐久間美穂氏による個展を開催いたします。
 
佐久間氏は、すぐそばにありながら見過ごしてしまう存在、足や頭上、日常のすきまに密やかに息づく生命の気配を、細密な描写によってすくい上げてきました。
 
複雑に絡みあう糸や植物の姿を通して、自由に生きるものたちの在りようを静かに映し出します。
 
本展では平面作品に加え、古美術の陶磁器と組み合わせることで、見えないものとの連なりをより立体的に提示する試みをご紹介いたします。
 
ぜひご高覧賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 
詳細は以下のとおり。
 


 
書や日本画など東洋の美意識のひとつに、線の美しさがある。
 
面の切り替えや量感を重視する立体的なものの捉え方とは異なる視点が、そこにはある。
 
精神統一された集中のなかで、静かに一本の線がすっと生まれる。描き手の呼吸と線の緊張感が密接な関係にあることは、想像に容易い。
 
 
佐久間さんの描く植物たちは、描き手と小さな道端の植物との阿吽の呼吸によって描き上げられている印象を持つ。
 
誰も見ていないような道の脇に静かに息づく植物たちの、命の線を丁寧にひろいあげる。
 
水分を吸い上げ、酸素を静かに放つ植物は、佐久間さんの自宅付近の道なりに自生しているものだ。
 
 
人は特別でないものを簡単に見落とす。
 
わかりやすく華やかなもの、主張のつよいものには目が止まっても、静かにそこに息づくものには価値を見出せないことが多い。
 
佐久間さんは、それらの持つ命の線を紙の上に巧みに再現している。
 
 
足しも引きもしない等身大のスケッチには、見落としてきたものたちの持つ美しさが素直に表れている。
 
よく観察して描くということは、視覚的なことだけではない。写生は生気を写しとる行為なのだ。
 
佐久間さんは存在の輪郭線を描き起こすことで、植物も、そして自分自身も、今ここに在って生きているということを、静かに思いださせてくれる。
 
RODGALLERYディレクター
藤田つぐみ
 


 
すぐ近くにいるのに
 
見えていなかった
 
それは足元にも
 
頭の上にも
 
お隣さんとの すきま にも
 
どこにでもいて
 
いつも 自由に 生きている
 
佐久間美穂
 


 
▶︎展覧会名
「line of silence」
 
▶︎開催期間
2026.1.9(金) - 1.19(月)
※会期中火-木曜休廊
※11:00 - 19:00まで
 
▶︎アーティスト
佐久間 美穂(さくま みほ)
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