この度ROD GALLERYでは西久松友花の個展「分解者」を開催いたします。
 
2024年12月グループ展「INSIDE」に続き弊廊では2度目の展覧会であり、西久松氏にとって東京では初の個展開催です。
 
また、本展覧会では東京日本橋・京橋エリアで開催される「東京アートアンティーク」への参加のほか、西久松氏が登壇するトークイベントもございますので、ぜひ展覧会と併せてご覧いただけると幸いに存じます。

詳細は下記をご覧ください。
 


 
死は等しく訪ずれるものとして動植物が生きている間、その命の営みは多岐にわたる。
 
単独に個々の命を生きながらも絶妙なバランスで共鳴しあって生命の循環が紡がれている。
 
西久松氏の作品における近年のテーマである生き物の棲処、命の循環は陶芸の制作過程で必要な、土、水、火などの自然物を用いるという点においても結びつきがみられる。
 
水に生かされ火に昇華され土へ還る。こうした陶芸制作という行為のなかにはすでに循環の要素が含まれている。
 
土を水槽などに入れ放置すると思ってもみないような小さな生き物が泳ぎ始める。
 
わたしたちの体のなかにも無数の細菌や細胞内のミクロな営みが常に行われ命が維持されている。
 
目にはみえないちいさな世界から生物間での捕食の関係までフラクタルのように命は常に蠢き循環を繰り返している。
 
西久松氏の作品はそれらの営みの断片とも包括とも捉えることができる。
 
金、プラチナ、パールなどの素材と艶やかな彩色により、命の循環という一言にはいい表せないサイクルに新たな造形美が生み出される。
 
それらが単なる装飾ではなく、作家の手により紡ぎ出された抽象形態が本質に触れようと形を探っているところに西久松氏の作品が持つ魅力が存在するのではないだろうか。
 
死の持つ神秘、生の持つ刹那の時と長い循環の旅が作家の命を通して此処に立ち現れている。
 
RODGALLERY ディレクター
藤田つぐみ
 


 
地を這うもの、空を飛ぶもの、陸を歩くもの。生き物である限り必ず死は訪れる。
 
自然界で死んだ生き物の身体はどのようにして土に還っていくのだろうか。
 
土に還る過程では、哺乳類などの脊椎動物や昆虫などの無脊椎動物、菌類などの微生物が身体の分解に関わっている。
 
肉眼では見ることができない微生物は、自然界で「分解者」と呼ばれるそうだ。
 
分解された身体はあらゆる場所へと運ばれて次の命へと繋がっていく。
 
生存競争に勝利したもの、或いは何らかの原因で生き延びたものが死を繰り返し、生物が進化してきた。
 
生命が地球上で進化していった過程では、微生物に始まり哺乳類へと進化を遂げたが、生き物が死んで分解されていく過程はそれとは逆となっているようで、不思議である。
 
私たちの日常の中でも、自然界の生と死が交錯する場面に遭遇する時がある。
 
死にゆくものの身体に寄生したまま生きようとするもの、
生きるものの身体の内側に入って共生しているもの。
 
生命は新たに生まれる生命の養分となる。
 
死の裏側には、命を生み出す生の営みがあるということを忘れないようにしたい。
 
私たちの足元や地中に潜み、そこに棲んでいるものたちがいて、地上の命を形作っている。
 
あまりに小さく人間の世界では見過ごされがちな生き物たちの姿形や彩りは世界を構成する一部であり、土台ともいえるだろう。
 
ドローイングによって抽出した営みによる生死の形象を陶に変換し、物語を紡いでいく。
 
西久松友花
 


▶︎展覧会名
「分解者」
 
▶︎開催期間
2025.4.11(金)-4.28(月)
※会期中火-木曜休廊(東京アートアンティーク参加のため24日開廊)
※11:00 - 19:00まで
 
▶︎アーティスト
西久松 友花(にしひさまつ ゆうか)
※アーティスト名をクリックするとアーティストページに遷移します。
 
▶︎参加イベント
「東京アートアンティーク2025」
会期中に開催される東京アートアンティーク2025に参加いたします。
詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.tokyoartantiques.com
開催期間:2025.4.24(木) - 4.26(土)
 
▶︎トークイベント
「ARTISTS TALK - 美術・工芸の継承と発展 -」

伝統的な技術や素材、思想を受け継ぎながら現代においてどのように自身の作品へ活かして日々制作されているかお話を伺います。
日本橋、京橋は古くよりお茶道具や古美術を扱う店が軒を連ねる街であり、現代ではコンテンポラリーアートのギャラリーも加わり、文化の中心として発展を遂げています。
この街が持つ過去の技術や思想を受け継ぎ今に繋げていく、という在り方に共鳴する作品制作をされているアーティストの方々を招き、TODA BUILDING内でアーティストトークを開催します。
伝統的な技術や素材、思想を継承しながら作品制作をされているアーティストが、「影響を受けた作品」「制作のベースとなっている技法」等と現在取り組んでいる作品を紹介し、作品のルーツと魅力について話を伺います。
 
アーティスト:三宅一樹(彫刻家)、青木岳文(陶芸作家)、西久松友花(陶芸作家)
ファシリテーター:近藤雄紀(繭山龍泉堂)、藤田つぐみ(RODGALLERY)

開催日:2025.4.25(金) 19:00 - 20:30(受付 18:45より)
会場:TODA HALL & CONFERENCE Tokyo Room 401
定員:80名
参加費:無料(事前申込制。下記サイトよりお申し込みください)
https://artist-talk.peatix.com
申込期間:2025.3.21(金) - 4月20日(日)
※ご購入には、PEATIX アカウントの登録が必要です。登録料や手数料などは発生しません。
※東京アートアンティークウェブサイト、SNS のご案内からもお申し込みいただけます。


分解者
H412×W440×D210mm
2025


 
分解者(部分)
H412×W440×D210mm
2025

 
仮の足
H415×W110×D40mm
2025

Photo by Takeru Koroda