この度ROD GALLERYでは長谷良樹の個展を開催いたします。

本展は長谷にとってROD GALLERYグループ展に続き、2度目の展覧会です。

詳細は以下をご覧ください。

 


この写真の舞台は岐阜県南部の山あいの「恵那 えな」という街である。
 
岐阜県と長野県の間にそびえる恵那山は、
天照大神の胞衣(えな 胎盤)が埋められたという伝説が残る霊山で、
街から望む山頂は、普段は雲で覆われあまり姿を現さない。
 
二〇一〇年に映画の撮影隊としてこの地に出向くことになり、
初めて山里の生活を体験したのだが、
偶然にもこの街は、私の父が産まれた街でもあった。
 
映画の撮影が終わり東京に引き上げたのち、
再び恵那で写真を撮ろうと思い、
大判カメラとフィルムを持って一人で通うようになった。
 
それから七年になる。
 
恵那は、おそらく典型的な日本の山あいの田舎町である。
 
季節毎の山や田んぼの色がそのまま街の色となり、
現代生活となつかしい風景が混じりあう。
 
似た生活と街は全国にあるかもしれないが、
不思議な縁で結ばれた人や土地を知るにつれて、
日常の場面の一コマ一コマに、
まるで舞台上の芸術のように特別な”絵”を見るようになった。
 
人、家、林、田んぼ、クルマ、鉄、雲、家具、神社といった様々なものの色やカタチが、
その外見と気配だけを残して、
私を”恵那”から引き離した。
 
長谷良樹
 
写真集 ENA  あとがき より


7年にわたり岐阜県にある恵那市の人々と景色を撮り続けた「ENA」。
 
恵那山は天照大神の胞衣(胎盤)が埋められるという伝説のある霊山でもある。
 
長谷氏の父が生まれた場所でもあるその地を仕事で偶然訪れ、
シリーズの撮影が開始された。
 
古い家屋は舞台のように機能し、
普段着のままの人々も混じる恵那の住人が演劇のようなポーズをとっている。
 
確かにその土地とそこに住む人々であるはずなのにその光景は日常とは離れ、
非常にリアルな何か、あるいはどこかの断片的な光景のように映る。
 
写真をみてリアルだと感じるということはあまりない体験だと思う。
 
それだけ「ENA」の中の光景は自然体から離れて完璧に作り込まれた既視感と違和感によって未知なる故郷を創造し、
鑑賞者を惹きつけてしまう魔力を放っている。

 
RODGALLERYディレクター
藤田 つぐみ
 

▶︎展覧会名
長谷良樹個展「ENA」
 
▶︎開催期間
2023.11.03 - 2023.11.20
※会期中火-木曜休廊
 
▶︎オープニングレセプション
2023.11.03
17:00 - 19:00
 
▶︎アーティスト
長谷良樹
 
1999年から2006年までニューヨークを拠点に活動し、現在は東京在住。
自ら製作したオブジェを現実の風景の中に設置する手法を使い、空間-人間-自然などの関係性を題材に幻視的で絵画的な写真作品を制作。
 
近年の主な個展に『ENA』(2020年、Gallery Main、京都)、『1st Composition』(2020年、FASS Art Gallery、トルコ・イスタンブール)、『181° – New Dimensions of Nature Landscapes』(2019年、River City Bangkok Gallery、タイ・バンコク)、『DESSIN』(2019年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『Refuse to Make Them Happen』(2018年、G Gallery、台北)、『ENA』(2018年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『almost nature』(2017年、コートヤードHIROO ガロウ、東京)など。
 
写真祭・グループ展に『麗水国際写真祭』(2019年、中国・麗水)、『第8回大理国際写真祭』(2019年、中国・大理)、『T3 Photo Festival Tokyo』(2017年、東京)、『United Photo Industries』(2017年、ニューヨーク)、『Singapore International Photography Festival』(2016年、シンガポール)、『Photo Saint-Germain』(2016年、Galerie Zlotowski、パリ)、『COLOSSUS』(2023年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)『大邱フォトビエンナーレ』(2023年 韓国・テグ)など多数。
 
主な受賞歴に、2019年『第8回大理国際写真祭』で〈181°〉シリーズにて「The Best Single Photography Award」受賞のほか、2016年〈First Composition〉シリーズにて「東京国際写真コンペティション」の上位8名に選出、2018年〈ENA〉シリーズにて「 LensCulture Emerging Talent Awards」で世界の若手写真家50名に選出。
 
www.yoshikihase.com

 

 
 

 
 

 
 

 
 

Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY