この度ROD GALLERYでは藤部恭代の個展を開催いたします。
本展は藤部恭代にとってROD GALLERYでは初の展覧会です。
詳細は以下のとおり。
美しいものは極めて残虐で儚い、そんな世界観が私は好きです。
私は切り取られた花しか描きません。
それは、太古より人は愛する人に花を手向けてきた行動に由来します。
重ねられたフィルターの中で呼び起こされるのは、
今を生きる私たちのこころの世界です。
藤部恭代
綺麗なものといえば何か、という問いを投げかければ早い段階で花という答えが返ってくると思う。
性別や国籍、時代を越えて花は美しくあり続け、繰り返し絵の題材にもされてきた。
多様な表現のなかでも、藤部さんの描く花は弔いの時の棺に添える花を連想させる。
死の場面においてそこだけ場違いに明るく鮮やかな光景。
けれどその花々もすでに根から絶たれた切り花だ。
美しいものを手折り愛でる行為にはエゴが潜んでいる。
それを他者に贈る行為のなかにもエゴは潜む。
それらのエゴはほとんど本能のようなものだ。
蝶々の胴に注射針を刺して標本にすること、若さに執着すること、大輪の百合のおしべの先を去勢のように切り取って活けてしまうこと。
美しさは刻々と色褪せてしまう。
色褪せる前に手中に収めようとする静かな暴力性すらも彼女の作品のなかでは美しく装飾されているように感じる。
RODGALLERY ディレクター 藤田 つぐみ